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退職代行で会社から請求される?費用や損害賠償の不安を正しく整理

退職代行を使うと会社から費用や損害賠償を請求されるのか不安な方へ。費用は本人負担が原則で、会社からの請求や賠償が認められるのは限定的です。民法・労基法・弁護士法の条文をもとに、わたし陽菜が中立に整理します。

「辞めたい」と言えないまま、わたしは半年くらい体調を崩していました。眠れない、朝になるとお腹が痛い。退職代行を使おうかと調べはじめたとき、いちばん怖かったのが「あとから会社にお金を請求されるんじゃないか」という不安でした。代行費用を会社に肩代わりさせられるのか、損害賠償で何十万も取られるのか。同じ不安で動けない方のために、この記事をまとめます。

先に結論をお伝えします。退職代行の費用は依頼した本人が払うもので、会社が「うちが損をした」として本人に費用を請求できる仕組みは基本的にありません。退職や代行利用を理由にした損害賠償が認められるのも原則として限定的で、会社側が実際の損害と因果関係を立証しなければなりません。「請求するぞ」という脅し文句は原則として通りにくいものです。ただし、状況によっては例外もあり得るため「絶対にない」とは言い切れません。不安なときは弁護士や労働基準監督署に相談してください。

退職代行を使うと会社から費用を請求される?

費用を会社から請求される心配は、基本的にいりません。退職代行の料金は、サービスを依頼したあなたと代行業者の間の契約です。会社はその契約の当事者ではないので、「あなたが代行に払ったお金をうちに払え」と会社が言える法的な根拠はありません。

逆もそうです。会社が代行とのやり取りで何か費用を使ったとしても、それを退職する本人に転嫁できる仕組みは一般にありません。退職は労働者の権利であり、その権利を使ったことを理由に金銭を負担させることは、原則として認められないからです。

そもそも退職代行を使って辞めるのは違法ではない?

違法ではありません。退職は法律で守られた労働者の権利です。期間の定めのない雇用なら、民法627条1項により、退職を申し入れてから2週間が経てば雇用契約は終了します。

「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」(民法627条1項)

会社の就業規則に「退職は1か月前に申し出ること」と書いてあっても、この民法のルールが優先される場面が多いとされています。代行を通じて意思を伝えること自体は、あなたの正当な権利の行使です。

退職代行を使ったら損害賠償を請求される?

退職や代行利用を理由とした損害賠償が認められるのは、原則として限定的です。会社が賠償を求めるには、あなたの退職によって会社に実際の損害が発生したこと、そしてその損害があなたの行為と因果関係でつながっていることを、会社側が立証しなければなりません。

「急に辞められて困った」「人手が足りなくなった」という程度では、賠償が認められるのは難しいのが一般的です。退職は権利であり、権利を使ったことそのものを理由に損害を負わせることはできないと考えられているからです。

ただし、ごく例外的に、あなたが意図的に会社へ損害を与えたなど特別な事情がある場合まで「絶対にゼロ」と言い切れるわけではありません。心配な事情を抱えている場合は、自己判断せず弁護士に確認するのが安全です。

「辞めたら違約金」と言われたら払う必要はある?

払う必要はないのが原則です。労働基準法16条は、会社が労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償の額をあらかじめ決めておくことを禁じています。

「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」(労働基準法16条)

つまり「途中で辞めたら違約金10万円」といった約束は、そもそも法律で禁止されている契約です。入社時にそういう書面にサインしていたとしても、その違約金の定め自体が無効になると考えられています。

研修費・資格取得費の返還を求められたら?

ケースによって扱いが分かれる部分なので、慎重に見る必要があります。会社が出してくれた研修費や資格取得費の返還を求められた場合、それが「実質的に退職を縛るための違約金」にあたるなら、労基法16条に反して無効と判断されることがあります。

一方で、本人が自由意思で利用でき、業務とは切り離された制度として整理されている費用なら、返還が認められる余地もあるとされます。線引きが難しい論点なので、返還を求められて納得できないときは、弁護士や労働基準監督署に相談してください。

退職代行には会社と交渉できるタイプとできないタイプがある?

あります。ここはお金や請求の話に直結する大事なポイントなので、表で整理します。

代行のタイプ できること 法的な根拠
民間業者 退職の意思を会社へ伝達するのみ 交渉・請求対応は不可(弁護士法72条)
労働組合(合同労組) 退職条件などの団体交渉 労働組合法にもとづく交渉権
弁護士 交渉・損害賠償への対応・法的トラブル全般 弁護士法にもとづく代理権

民間業者が会社と金銭の交渉や法的なやり取りまで踏み込むと、弁護士法72条が禁じる「非弁行為」にあたるおそれがあります。

「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件…その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い…ることを業とすることができない。」(弁護士法72条)

会社から損害賠償や費用の話を持ち出されそうな不安があるなら、最初から弁護士または労働組合のタイプを選ぶと安心です。

退職代行を使うと会社から仕返しをされない?

法的な仕返しは原則として通りにくいものです。会社が腹を立てて「訴える」「賠償させる」と言ってきても、ここまで見てきたとおり、退職を理由にした請求や賠償が認められるのは限定的です。脅し文句として言っているだけ、というケースも少なくありません。

それでも直接連絡が来て怖い、という気持ちは当然あります。わたし自身、退職を伝えるだけで手が震えました。だからこそ、会社とのやり取りを代行や弁護士に任せて、あなた自身は連絡を受けなくて済む状態をつくることに意味があります。実際に脅しめいた連絡が続く場合は、その記録を残して弁護士や労基署に見せてください。

会社から本当に請求や賠償の通知が来たらどうする?

落ち着いて、すぐに専門家へつなぐのが安全です。自己判断で支払いに応じる前に、次の順番で動いてください。

  • 届いた書面や連絡の内容を保存する(メール、郵便、録音など)
  • 自分から金額に同意したり、その場で支払う約束をしない
  • 弁護士または労働基準監督署に内容を見てもらう
  • 必要なら法テラスなど無料相談の窓口も使う

請求や脅しが原則として通りにくいとはいえ、内容によっては個別の判断が必要です。「絶対に大丈夫」と自分に言い聞かせるより、専門家に確認してもらうほうが、結果的に早く安心できます。

退職代行の費用は誰が負担するのが普通?

依頼したあなた自身が負担するのが普通です。会社が代行費用を出すことはありませんし、出す義務もありません。費用の相場や内訳は、別の記事でくわしく整理しています。

ここで覚えておいてほしいのは、「会社に請求されるお金」と「自分が代行に払うお金」はまったく別の話だということです。前者は基本的に発生せず、後者だけがあなたの実費になります。不安の正体を切り分けると、思っていたより怖くないことが見えてきます。

よくある質問

Q. 退職代行を使ったら、会社から代行費用を請求されますか?
請求される心配は基本的にいりません。代行費用はあなたと業者の契約であり、会社がその費用を本人に請求できる法的根拠は一般にないためです。

Q. 急に辞めて損害賠償を請求されることはありますか?
退職を理由にした賠償が認められるのは原則として限定的です。会社側が実際の損害と因果関係を立証しなければならず、人手不足などの理由だけでは認められにくいとされています。

Q. 「辞めたら違約金」と契約書に書いてありました。払う必要はありますか?
原則として払う必要はありません。労働基準法16条が違約金や損害賠償額の予定を禁じており、その定め自体が無効になると考えられています。

Q. 民間の退職代行でも、会社からの請求に対応してもらえますか?
対応はできません。会社との交渉や金銭トラブルの対応は弁護士または労働組合の役割で、民間業者が行うと弁護士法72条の非弁行為にあたるおそれがあります。

Q. 会社から本当に請求の通知が来たら、どこに相談すればいいですか?
弁護士や労働基準監督署に相談してください。書面や連絡を保存し、自分から支払いに同意する前に専門家へ内容を見てもらうのが安全です。

まとめ

退職代行で会社から請求される、という不安は、切り分けてみると多くが原則として通りにくいものでした。費用は本人負担で会社から請求される仕組みは基本的になく、損害賠償が認められるのも限定的、違約金の定めは労基法16条で禁じられています。退職はあなたの権利です。それでも個別の事情で「絶対にない」とは言えないので、不安なときは弁護士や労働基準監督署に頼ってください。

🍀陽菜からあなたへ
「お金を請求されたらどうしよう」って、辞める前のわたしを何日も縛っていた不安でした。でも調べてみたら、その多くは脅しの言葉で、法律はちゃんとあなたの味方をしてくれていました。怖いまま我慢し続けるより、正しい知識を一つずつ手に入れて、あなたの心と体を守ってほしいです。