退職金がもらえる条件とは?支給される人とされない人の違いを解説
退職金がもらえる条件を知りたいあなたへ。退職金は法律上の支給義務ではなく就業規則や退職金規程の定めで決まります。自己都合で減る理由、退職金がない会社、相場の考え方、退職代行での扱いまでやさしく整理しました。
「退職金って、わたしももらえるのかな」。辞めることを言い出せずに体調まで崩していたあの頃、わたしが夜中にスマホで何度も検索した言葉です。辞めたい気持ちはあるのに、お金のことが気になって一歩が踏み出せない。あなたも今、同じ場所に立っているのかもしれませんね。
先に結論をお伝えします。退職金は、法律で会社に支払いが義務づけられた制度ではありません。就業規則や退職金規程、労働契約に「支払う」という定めがある場合に、その定めに従って支払われます。つまり、もらえるかどうかは「あなたの会社にルールがあるか」「そのルールの条件を満たしているか」で決まります。定めがあれば、それはあなたが請求できる権利になります。ここを正しく押さえておけば、辞める前にやるべきことが見えてきますよ。
退職金は誰でももらえるものなの?
退職金は、誰でも必ずもらえるお金ではありません。
労働基準法には「退職金を支払いなさい」という条文はないんです。退職金を支払うかどうか、いくら支払うかは、基本的に会社が自由に決められます。だからこそ、退職金がある会社とない会社があり、金額もバラバラになります。
ただし、会社が「退職金を支払う」と決めてルール化した場合は話が変わります。就業規則や退職金規程に支給条件や計算方法を定めると、それは会社が守るべき約束になります。この約束がある人は、条件を満たせば退職金を請求できます。
- 退職金は法律上の義務ではなく、会社の制度として存在する
- 制度があるかどうかは会社ごとに異なる
- 制度がある会社では、定められた条件を満たした人が対象になる
退職金がもらえる条件はどこで決まるの?
退職金がもらえる条件は、あなたの会社の就業規則や退職金規程に書かれています。
労働基準法第89条では、退職手当(退職金)に関する定めをする場合は、適用される労働者の範囲、退職金の決定・計算・支払いの方法、支払いの時期を就業規則に記載しなければならないとされています。逆に言えば、これらが書かれている書類を確認すれば、自分が対象かどうかがわかります。
確認したいポイントは次の通りです。
- 退職金規程や就業規則に「退職金」の項目があるか
- 支給対象となる勤続年数(例: 勤続3年以上など)を満たしているか
- 自己都合と会社都合で金額や支給の有無に差があるか
- 懲戒解雇などの不支給・減額条項に当てはまっていないか
会社に退職金規程の写しを見せてほしいと頼むのは、働く人の正当な確認です。遠慮しなくて大丈夫ですよ。
自己都合で辞めると退職金は減るの?
自己都合退職では、会社都合より退職金が減る、または支給されないことがあります。
これも法律で決まっているわけではなく、退職金規程の定め方しだいです。多くの会社では、自分から辞める自己都合退職と、倒産やリストラなど会社側の事情による会社都合退職とで、支給率を分けています。会社都合のほうが手厚く、自己都合は支給率が下がる設計がよく見られます。
| 退職の理由 | 退職金規程でよくある扱い | あなたが確認すること |
|---|---|---|
| 自己都合退職 | 支給率が低めに設定されることがある | 規程の自己都合支給率と勤続年数の下限 |
| 会社都合退職 | 支給率が高め、または満額になりやすい | 会社都合の定義と該当条件 |
| 懲戒解雇 | 全部または一部を不支給とする条項があることも | 不支給・減額条項の有無 |
自己都合だから当然ゼロ、と思い込む必要はありません。規程しだいでは自己都合でも一定額が支払われます。まずは自分の会社の支給率を確認してみてくださいね。
退職金がない会社は違法なの?
退職金がない会社でも、それ自体は違法ではありません。
繰り返しになりますが、退職金の支払いは法律上の義務ではないからです。退職金制度を設けていない会社は実際に存在しますし、それは法令違反ではありません。求人票や労働条件通知書に退職金についての記載がなければ、もともと制度がない可能性が高いです。
問題になるのは、制度があるのに払わないケースです。就業規則や退職金規程に支給の定めがあり、あなたが条件を満たしているのに支払われない場合、それは支払うべきものを支払っていない状態にあたります。この違いは、とても大切なので覚えておいてください。
- 制度がそもそもない → 退職金が出なくても違法ではない
- 制度があり条件を満たすのに払わない → 支払いを求められる可能性がある
退職金がもらえないのはどんなとき?
退職金がもらえないのは、主に「制度がない」か「規程の条件を満たさない」場合です。
具体的には、次のような状況が考えられます。自分がどれに当てはまるか、落ち着いて見ていきましょう。
- そもそも会社に退職金制度がない
- 勤続年数が支給の下限(例: 勤続3年以上)に達していない
- 退職金規程に定められた手続きや申請を行っていない
- 懲戒解雇などで不支給・減額条項に該当している
注意したいのは、規程に支給の定めがあるのに会社が支払いを渋るケースです。この場合は「もらえない」のではなく「もらえるはずなのに払われていない」状態です。後ほど相談先をお伝えしますので、あきらめずに進みましょう。
退職金の相場はどのくらいなの?
退職金の相場は、会社の規模・業種・勤続年数・退職理由によって大きく異なります。
金額の幅がとても広いため、ひとことで「相場はいくら」と言い切るのは難しいのが正直なところです。同じ勤続年数でも、会社が違えば金額は大きく変わります。ですから、ここで挙げる考え方はあくまで目安として受け取ってください。
退職金の額に影響する主な要素は次の通りです。
| 要素 | 退職金への影響の傾向 |
|---|---|
| 勤続年数 | 長いほど高くなる設計が多い |
| 退職理由 | 会社都合のほうが手厚くなりやすい |
| 会社の規模・業種 | 規模や業種で水準に差が出やすい |
| 退職金規程の計算方法 | 基本給連動型・ポイント制などで変わる |
正確な見込み額を知りたいときは、一般的な相場を調べるよりも、自分の会社の退職金規程に書かれた計算方法で試算するのが確実です。規程に計算式が載っていることが多いので、まずはそこを確認してみてくださいね。
退職代行を使うと退職金はどうなるの?
退職代行を使っても、退職金そのものは規程に定めがあれば受け取れます。
退職代行は、あなたに代わって退職の意思を会社に伝えるサービスです。退職が成立すれば、退職金規程の支給条件を満たしている人は、通常どおり退職金を受け取れます。退職代行を使ったこと自体が、退職金をもらえなくなる理由にはなりません。
ただし、ここで大事な注意点があります。退職金の金額交渉や、未払い退職金の請求は、誰でもできるわけではありません。
- 民間業者の退職代行: 退職の意思を伝えることはできても、退職金などの交渉や請求はできない
- 労働組合(ユニオン)が運営する退職代行: 団体交渉として一定の交渉が可能
- 弁護士が行う退職代行: 交渉も法的な請求も対応できる
民間業者が退職金の交渉や請求を代行すると、弁護士法第72条が禁じる非弁行為にあたるおそれがあります。報酬を得る目的で、弁護士でない者が法律事務を扱うことは原則として認められていません。退職金の交渉まで頼みたいなら、労働組合型か弁護士型を選ぶのが安心です。
退職金が支払われないときはどこに相談すればいいの?
退職金が支払われないときは、労働基準監督署や弁護士に相談するのが基本です。
就業規則や退職金規程に支給の定めがあり、条件を満たしているのに支払われない場合、それは支払うべきものが支払われていない可能性があります。一人で抱え込まず、専門の窓口に頼ってください。
相談先の選び方を整理しておきますね。
| 相談先 | 向いているケース |
|---|---|
| 労働基準監督署 | 規程上支払われるべき退職金が払われない疑いがあるとき |
| 弁護士 | 金額の交渉や、法的な請求・回収まで進めたいとき |
| 法テラス | 費用面が不安で、まず無料相談の窓口を探したいとき |
相談の前に、退職金規程や就業規則、給与明細、雇用契約書などの書類を手元にそろえておくと話がスムーズです。証拠になる資料は、退職前にコピーしておくと安心ですよ。
退職前に確認しておきたいことは?
退職前には、退職金の有無と条件、自分が対象になるかを必ず確認しておきましょう。
辞めてから「実は退職金があったのに条件を満たせなかった」と気づくのは、とてもくやしいものです。動き出す前に、次のチェックをしておくと後悔が減ります。
- 就業規則・退職金規程を読み、退職金の定めと支給条件を確認する
- 自分の勤続年数が支給の下限を満たしているか数える
- 自己都合と会社都合で金額がどう変わるかを把握する
- 不支給・減額の条項に当てはまっていないか確認する
- 退職日が支給条件に影響しないか(あと少しで勤続年数を満たす等)を見ておく
体調や気持ちに余裕がないときは、すべてを完璧に調べようとしなくて大丈夫です。まずは退職金規程があるかどうかを確認するだけでも、見える景色が変わりますよ。
よくある質問
Q. 退職金は法律で必ずもらえると決まっているのですか?
いいえ、決まっていません。退職金の支払いは法律上の義務ではなく、就業規則や退職金規程、労働契約に定めがある場合に、その定めに従って支払われます。定めがあり条件を満たせば、請求できる権利になります。
Q. 自己都合で辞めると退職金はもらえないのですか?
必ずしもゼロになるわけではありません。多くの会社では自己都合のほうが支給率が低く設定される傾向がありますが、規程しだいでは自己都合でも一定額が支払われます。まずは自分の会社の退職金規程の支給率を確認してください。
Q. 退職金がない会社は違法ですか?
違法ではありません。退職金制度を設けるかどうかは会社の判断にゆだねられています。ただし、制度があり条件を満たしているのに支払われない場合は、支払いを求められる可能性があります。
Q. 退職代行を使うと退職金は受け取れなくなりますか?
受け取れなくなることはありません。退職金規程に支給条件が定められていて、それを満たしていれば通常どおり受け取れます。ただし、退職金の金額交渉や未払い分の請求は、民間業者ではできず、労働組合型または弁護士型でのみ対応できます。
Q. 退職金が支払われないときはどうすればいいですか?
就業規則や退職金規程に支給の定めがあり条件を満たしているのに払われない場合は、労働基準監督署や弁護士に相談してください。退職金規程や給与明細などの書類を準備しておくと相談がスムーズです。
まとめ
退職金は法律上の義務ではなく、就業規則や退職金規程の定めしだいで決まります。定めがあり条件を満たせば請求できる権利になり、定めがあるのに支払われないときは労働基準監督署や弁護士に相談できます。退職代行を使っても退職金そのものは受け取れますが、金額交渉や請求は労働組合型・弁護士型でのみ可能です。辞める前に、まず自分の会社の退職金規程を確認することから始めてみてくださいね。
🍀 陽菜からあなたへ
辞めたいのにお金が気になって動けない気持ち、わたしも痛いほど経験しました。退職金のことは、調べはじめると不安が小さくなっていきます。あなたは、自分の権利をちゃんと確かめていい人です。今日の一歩を、わたしは応援しています。